日本財団 図書館


 

ほうが外水域よりも低濃度にあった。形態別に分けてみると、懸濁態成分に関しては、前で述べたSSと同様、明瞭な浄化効果が確認された。一方、溶存態成分に関しては、内外水域の濃度がほぼ等しい、ないしは、むしろ内水域のほうが高いこともあった。
3−3. 水量負荷の影響評価のための揚水実験の結果
Fig-7に揚水実験時の内外水域のクロロフィル濃度の比較図を示す。揚水条件下においても、明瞭なクロロフィルの除去性能が認められた。
Fig-8には、堤体単位容積に対するクロロフィル負荷速度とクロロフィル除去速度の関係を示す。クロロフィル負荷速度は、調査を行った9〜15時の間に堤体部を通過した海水量と各測定目のクロロフィル濃度平均値との積から求めた。また、クロロフィル除去速度は内水域と外水域の濃度の差から求めた。容積負荷が10〜15mg/m3/kmまでの範囲では、除去速度との間に一定の関係が認められ、およそ負荷の7割が除去されている。
4. コンクリート廃材の礫代替材料としての適用性
4−1. 適用に際しての問題点
こうした石積み浄化堤の築造において、廃材を有効利用することは有意義なことである昨年の阪神大震災後の復旧・復興事業においても、多量のガレキが発生しており、ガレキのうち、特に、コンクリート廃材は海水浄化用の礫の代替材料としての用途が考えられる。しかし、コンクリート廃材を海洋に投入する場合、その化学組成からアルカリ成分の溶出の影響が懸念される。そこで、その適合性および溶出を抑制する処理法について室内実験で検討した。
4−2. 適用性評価実験の概要
(1)供試材料
モルタルテストピース(日本テストパネル工業(株)製)をジョークラッシャーでφ5〜20mm(平均1.25cm)に粉砕し、新鮮な表面を露出させた。そして、Table-1に示す処理を施し、以下の実験に供試した。
(2)実験方法
海水21に前処理を行った供試材0.21を浸漬し、室温に放置して、海水pHの経時変化を測定した。なお、供試材と海水の量的バランスは、実規模の堤体単位容積内の礫表面積と間隙水量の比に準じて設定した。
4−3. 実験結果
海水が堤体間隙中に滞留する時間を考慮し、数時間の間での海水pHの上昇挙動を計測した結果をFig-9

193-1.gif

Fig-7

Comparison of chlorophyll concentrations between water inside and outside the facility on the condition of pumping up water.

193-2.gif

Fig-8 Chlorophyll remove rate of the facility

193-3.gif

Table-1 Experimental Conditions

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION